築5年。高圧洗浄の2年後にまた排水がつまった。早すぎませんか
水回りオンライン相談に寄せられた質問と回答の事例です。※個人を特定せず一般化するために、実際のやり取りを一部改編して掲載しています
築5年の戸建て住宅です。2年前にキッチンシンクの排水が流れづらくなり、高圧洗浄をしましたが、また流れづらくなりました。住宅メーカーから「5年位以降に高圧洗浄が必要」と聞いたので、配管がつまらにように油などは紙で拭いてから食器を洗い流すよう気を付けていました。なのに詰まるのが早い気がします。
何か施工の問題など考えられるでしょうか? どうぞよろしくお願いいたします。
築5年で、2年前に高圧洗浄をされたということは、新築から3年後に高圧洗浄が必要なほどに排水管が閉塞した、ということになります(誤解があればご指摘くださいませ)。
> 詰まるのが早い気がします。
このご感覚は至極まっとうなもので、私も同感です。
> 住宅メーカーから「5年位以降に高圧洗浄が必要」と聞いた
もしも、住宅メーカーからそのような発言があれば、水道工事店としては耳を疑います。排水管の高圧洗浄は、たとえば車のオイル交換のように定期的に行う必要のあるメンテナンスではなく、病気の治療のように必要に応じて行うものだからです。
> 施工の問題など考えられるでしょうか?
たとえば仮に2年前に、私どもが質問者様から「排水の流れが悪い」と相談を受けていたとします。その場合は、排水つまりの対処とは別に、施工に原因があるかどうかはさておき、真っ先に排水管の性能の異常を疑います。
この場合の排水管の性能の異常とは、勾配不良と呼ばれるものです。
排水管は水平よりも僅かに下流側に傾けて配管することで、重力で排水されるように施工します。この僅かな傾きのことを勾配といいます。
勾配不良とは、配管時に意図的に設けた排水管の傾きが小さくなる、あるいは逆になることを指します。勾配が不良であれば排水の流れが悪くなり、ひいては管の内部が閉塞して「排水つまり」に至ります。
勾配不良は、地盤沈下などが原因で起こることもありますが、施工不良も原因になり得ます。
施工不良を原因とする勾配不良は、1)そもそも最初から勾配不良、2)周りの土の踏み固め不足で、竣工後しばらくしてから勾配が不良になる、の2種類があります。
質問者様の現状においても、原因はともかく、まずは勾配が正常であるかどうか(不良でないかどうか)の確認を優先すべきです。もしも勾配が不良であれば、それを改善しないかぎり今後も排水管がつまるおそれが大きいからです。
勾配が正常であるかどうか(不良でないかどうか)は、排水マスのフタをあけて中を点検することで簡易的に確かめることができます。勾配が正常であれば、排水を流していない状態ではマスの底に水は溜まりません。
勾配が不良がある場合、その原因を事後的に特定することは難しいですが、築5年であれば施工不良が原因の一部である可能性は否定しがたいと考えられます。
また、2年前に行われた高圧洗浄の依頼先が、ご新築時の住宅メーカーさんであり、なおかつ現時点で排水管の勾配不良が確認されたとしたら、2年前の高圧洗浄の作業時に勾配不良が見逃され、根本的な解決ではなく対処療法的な処置がなされた可能性が高いといえます。「2年前には勾配不良はなかった」と証明することは難しく、またそのように推測することも合理的には無理があるからです。
勾配不良の確認で、マスに水が溜まっていなければ、勾配不良の可能性はないと考えてよろしいのでしょうか?
一般的には、そのように評価して差し支えありません。勾配が適正に保たれていれば、マスを含む排水管路の底に排水が溜まることなく、すべて下流に流れきるからです。
汚水と書かれているマスの中を確認しました。最終マスは玄関土間の下にあるので、上からだと深く暗くて、水の確認が取りにくかったです。最終マス手前のマスには、水は溜まっておりませんでした。
鍋に溜めた水をシンクに一気に流したら、少し溢れながらも水は流れて、マスの底を流れていく様子が確認できました。ただ、シンクと違う経路(2階からの排水)のマスの底に便のような茶色い泥のようなものが少し溜まっていました(下の写真です)。
以上の情報から、シンクつまりの原因が何か考察できますでしょうか?
> 最終マスは……深く暗くて、水の確認が取りにくかったです。
最終マスはその先が公共下水道です。目で見える高さまで水が溜まっているようなことがなければ、心配は無用です。
> 最終マス手前のマスには、水は溜まっておりませんでした。
最終マスの手前のマスに水が溜まっておらず何よりでした。
管路全体の途中に勾配不良があれば、その部分よりも上流で水が溜まります。したがって可能であれば、上流から順にすべてのマスについて点検していただけると、より安心できると存じます。
> 水をシンクに一気に流したら、……マスの底を流れていく様子が確認できました。
「マスの底を流れていく様子」が、管路全体のすべてのマスにおいて確認できれば問題ありません。
> シンクと違う経路(2階からの排水)のマスの底に便のような茶色い泥のようなものが少し溜まっていました(下の写真です)。
お写真、拝見しました。このマスにつながる2階の水回りがトイレしかない場合、たとえば「トイレからの水の量が十分でない」など、何らかの原因で汚物が滞留することがないわけではありません。
いずれ「2階のトイレの流れが悪いな」と違和感を感じられたら、この部分のみの排水管の清掃(必ずしも高圧洗浄とは限りません)が必要になるかもしれませんが、お写真を拝見するかぎり、今は特に心配するような状態ではありません。
> 以上の情報から、シンクつまりの原因が何か考察できますでしょうか?
このマスの茶色く滞留している部分の上流側にキッチンがあれば、シンクのつまりにも関連がありますが、そうではない(この合流の仕方の場合、一般的にはその可能性は限りなく少なく、かつご提供いただいた情報とも合致する)ため、「以上の情報から、シンクつまりの原因が何か考察」することは困難です。
よくテレビで宣伝しているシンクのパイプ洗浄が必要な汚れがある可能性は、考えられるのでしょうか?
シンク下のパイプ(uの字部分)を自分で開けて、汚れやつまりを確認する事はできるものでしょうか?
> パイプ洗浄が必要な汚れがある可能性は、考えられるのでしょうか?
「鍋に溜めた水をシンクに一気に流したら、少し溢れながら」という排水状況から、シンク下のキャビネット内にある排水トラップやホースの内部が汚れていることを想像できなくはありません。
ただし「鍋に溜めた水をシンクに一気に流した」場合には、排水口に若干たまった状態で流れていくのは一般的なことでもあります。
> パイプ(uの字部分)を自分で開けて、汚れやつまりを確認する事はできるものでしょうか?
可能です。「uの字部分」は排水トラップと呼ばれる装置です。キッチンの排水トラップには様々な種類がありますが、近年主流となった「uの字」のトラップは、それ以前に一般的だったワントラップに比べて、汚れがたまりやすいといえます。
排水トラップの内部には水が溜まっているため、バケツまたは洗面器などを下に受けた状態で、接続部分のナットを緩めてトラップを分解します。なお、ナットを緩める、あるいは元に戻す作業は、工具を使った方がやりやすいです。
YouTubeなどの動画サービスで、たとえば「キッチン トラップ 清掃」などと検索すると、やり方を解説した動画をいくつか見つけることができると思います。
ありがとうございます。
もう一度、鍋の水を一気に流したら、ボコボコとシンクで詰まる感じでした。やはりシンク下に問題がありそうです。
この場合の掃除は業者さんに依頼するものでしょうか? 業者さんの汚れの確認方法はどのようなものでしょうか? 立て続けに申し訳ありません。どうぞよろしくお願いいたします。
> 流したら、ボコボコとシンクで詰まる感じでした。やはりシンク下に問題がありそうです。
そうですね。そのような音がする場合には、排水トラップあたりでの「つまり」が考えられそうです。
> この場合の掃除は業者さんに依頼するものでしょうか?
業者に依頼する内容にあたります。
> 業者さんの汚れの確認方法はどのようなものでしょうか?
トラップ部分を分解して、パイプの中を目視します。
ありがとうございます。とても不安でしたが、専門の方のご意見をお聞きできて、安心しました。
お役にたてて光栄です。
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